社会保険労務士法人トライスタア

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文書作成日:2021/03/11


 坂本工業では、毎年4月1日から翌年3月31日までの期間の36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)を締結し、届け出を行っている。今回、36協定届の押印が廃止されることになったと聞き、社労士に変更点を確認することとした。

 そろそろ36協定届の準備を始めようと思っていますが、36協定届の押印が廃止されることになったと耳にしました。押印が廃止されるとはどのようなことでしょうか?

 はい、2021年4月1日以降に届け出る36協定届から押印が廃止されます。この押印の廃止とは、36協定届で必要となる、過半数労働組合または労働者の過半数代表(以下、まとめて「労働者代表」という)や、使用者の押印または署名が、不要になったことをいいます。

 なるほど。ということは、労働者代表と使用者を記名し、押印せずにそのまま提出できるようになるということですね。

 そのとおりです。ただし今回、押印が廃止となったものは36協定届であり、36協定書ではありません。36協定届は、36協定書を労使で締結した上で作成し、労働基準監督署に提出するものですが、実際には36協定書と36協定届を兼ねて作成することが認められているため、多くの企業では36協定届のみを作成しています。このように36協定書と36協定届を兼ねるときには、36協定届に記名・押印または署名が必要になります。

 当社は、36協定書を作成していないので、今後も記名・押印または署名が必要ということですね。

 そうですね。なお、36協定書と36協定届を各々作成している場合には、2021年4月1日以降に届け出るものから押印が廃止されますが、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、2021年3月31日以前であっても、記名・押印または署名がなくても届出の受理はされます。また、新様式では押印が廃止されることで、労働者代表の不適切な選任が行われないように、労働者代表に関するチェックボックスが2つ設けられました。

 一度、新様式で36協定届を作ってみて、また不明点があったらご連絡します。

 また、36協定届以外にも押印の廃止が進んでいます。例えば、社会保険では、多くの書類について押印が廃止となりました。事業所が関わる書類の中で、押印が必要な様式は「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を始めとして、金融機関への届出印の確認が必要なもののみとなっています。

 そうなると、事業主印はほぼ使うことがなくなりそうですね。

 そうですね。ちなみに、事業主や申請者の押印だけでなく、医師の押印が廃止となっています。そのため、例えば健康保険の出産手当金や傷病手当金の医師等が証明する欄も押印は不要です。ただし、出産一時金支給申請書の出生の証明を、医師ではなく、市区町村長によって行う場合には、市区町村長の押印が必要です。

 ややこしいのですね。

 今回多くの書類で押印が廃止されたことによって書類のやり取りが少なくなりますし、手続きにかかる時間の短縮には期待ができそうです。

 確かに、子どもの出生時には早く健康保険証が欲しいという声も聞かれますし、時間短縮できるのは従業員の安心に繋がることになりそうですね。

>>次回に続く



 労働保険における押印の廃止に関しても確認しましょう。労災保険は原則、押印が廃止となり、既に新様式が厚生労働省のホームページからダウンロードできるようになっています。雇用保険についても原則、押印が廃止されていますが、適用事業所設置届裏面の事業主の登録印や、各種届出における訂正印など、引き続き押印が必要な書類もありますので、ご注意ください。

■参考リンク
厚生労働省「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00041.html
日本年金機構「令和2年12月25日より年金手続きの押印を原則廃止します」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202012/20201225.html
全国健康保険協会(協会けんぽ)「協会けんぽへの各種申請書押印廃止の取扱いについて」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r3-2/2021021301/
厚生労働省「労災保険における請求書等に係る押印等の見直しの留意点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000716582.pdf
厚生労働省「雇用保険関係手続きにおける押印の原則廃止について」
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/content/contents/202102021011.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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